
「退職給付金って何?」
「退職金とどう違うの?」と疑問に思ったことありませんか?
この記事では、そんなあなたのために、退職にまつわるお金の話をわかりやすく・見やすく整理してご紹介します。
退職金と退職給付制度の違いをまず押さえましょう
まず、「退職金」と「退職給付制度」は似ているようで少し違います。
ここを理解することで、全体像がつかみやすくなります。
用語 | 内容 | 支給形式 | 法的義務 |
---|---|---|---|
退職金 | 退職時に企業が支払うお金の通称 | 一括支給が多い | 企業の任意(義務ではない) |
退職給付制度 | 退職金や企業年金など、退職後に支給されるお金の制度全体を指す | 一括・年金形式など様々 | 義務ではないが導入企業が多い |
退職給付金 | 退職給付制度の中で実際に受け取るお金のこと | 一括・年金形式など | 制度による |
つまり、「退職給付金制度」の中の「退職給付金」ですね。
退職給付金とは?
「退職給付金」とは、勤務先が導入している退職給付制度に基づいて支給されるお金を指します。
主に以下のようなものが該当します:
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退職一時金
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確定給付企業年金(DB)
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確定拠出年金(DC)
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中小企業退職金共済(中退共)
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建退共などの業種別共済
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公務員の退職手当
これらはすべて「雇用主」が拠出した資金に基づき支給されるのが特徴です。
一方で、失業保険・傷病手当金は何かというと?
給付名 | 制度の目的 | 支給元 | 退職給付金に含まれる? |
---|---|---|---|
失業保険 (基本手当) |
離職後の生活保障 | ハローワーク(雇用保険制度) | 含まれない |
傷病手当金 | 病気やケガで働けないときの所得保障 | 健康保険(協会けんぽや組合健保) | 含まれない |
補足:失業保険・傷病手当金は「公的給付」に該当します
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失業保険は、会社を辞めたあとに再就職までの生活費を支援する制度であり、雇用保険に加入していた人が対象です。
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傷病手当金は、在職中や退職直後に病気やケガで働けない人に支給されるもので、健康保険の制度に基づく給付です。
つまり、これらは「企業が退職に際して支払うお金」ではないため、退職給付金とは別物と理解してください。
退職給付金と失業保険・傷病手当金のまとめ
項目 | 退職給付金 | 失業保険 | 傷病手当金 |
---|---|---|---|
給付の目的 | 退職時の労働報酬・老後資金 | 失業中の生活保障 | 病気やケガによる就労不能時の所得補填 |
支給元 | 企業・退職金制度 | 雇用保険(国) | 健康保険(協会・組合) |
自動支給か申請が必要か | 企業側手続きが主 | 自分でハローワークに申請 | 自分で健康保険組合に申請 |
退職給付金に該当するか | ○ | × | × |
退職給付金と呼ばれる制度の一覧と特徴
以下に、主な退職給付金の種類とその特徴を一覧表でまとめました。
名称 | 支給形式 | 対象者 | 受給条件 | 申請先・方法 |
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退職一時金 | 一括支給 | 正社員・一部の契約社員 | 勤続年数・退職理由(定年・会社都合など) | 勤務先の人事部にて自動計算・支給 |
確定給付企業年金(DB) | 年金形式または一括 | 加入者(企業によって異なる) | 所定の加入期間・退職など | 企業または年金基金へ申請 |
確定拠出年金(DC) | 年金形式または一括(運用結果による) | 加入者(企業型・個人型) | 加入後の一定期間経過、60歳以降など | 加入先の金融機関を通じて申請 |
中小企業退職金共済制度(中退共) | 一括支給 | 中退共加入企業の従業員 | 所定年数の勤務(1年以上が目安) | 中退共本部または企業が代理申請 |
国家公務員・地方公務員の退職手当 | 一括支給 | 公務員 | 勤続年数、退職理由(定年、勧奨等) | 所属機関が自動手続き |
特定業種の退職金共済(建退共など) | 一括支給 | 建設業・林業などの労働者 | 所定の証紙(就労実績)を有する | 各共済事務所へ申請 |
退職関連の失業給付(雇用保険) |
月額支給(最大150日〜330日程度) |
雇用保険加入者 | 離職票が必要、ハローワークで手続き | ハローワークにて申請 |
よくある退職給付制度の種類別に解説します
退職一時金制度とは?
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企業が就業規則等に基づいて支給するものです。
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退職時にまとまった額が支払われます。
受給条件の一例
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勤続年数が3年以上
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懲戒解雇でないこと
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自己都合か会社都合かで金額が変動
確定給付企業年金(DB)
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企業が資金を拠出し、運用成績にかかわらずあらかじめ決まった金額が支払われる制度です。
メリット
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将来もらえる金額があらかじめわかる
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定年後の生活資金として計画が立てやすい
確定拠出年金(DC)
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企業や本人が毎月掛金を拠出し、自分で運用して退職後に受け取る制度です。
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運用成績によって受け取れる額が変わります。
受給方法
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年金として受け取る
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一括で受け取る
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一部ずつ受け取る
※iDeCo(個人型確定拠出年金)に移行可能です。
中小企業退職金共済制度(中退共)
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中小企業向けの国の制度です。
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企業が月額掛金を納め、従業員の退職時に共済本部から退職金が支払われます。
申請方法
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退職後に企業を通じて中退共へ申請
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支給には退職証明などの書類が必要
退職給付金の受け取り時に気をつけたいポイント
税金の取り扱い
退職給付金の多くは、税制上の優遇があります。
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退職所得控除があり、多くの場合非課税になる
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一括受け取りは「2分の1課税」で所得税が安くなる
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企業年金やDCなどは「公的年金等控除」の対象になる
申請漏れ・手続き忘れに注意
退職一時金は企業が自動で支給する場合が多いですが、
確定拠出年金や中退共などは自分で申請しないと受け取れないこともあります。
まとめ:退職給付金の全体像を理解して安心して退職を迎えましょう
退職時にもらえるお金には、さまざまな種類と条件があります。
- 「退職金」=一括でもらうお金
- 「退職給付制度」=退職後の生活を支える仕組み全体
と考えると整理しやすいです。
これらを正しく理解し、必要な手続きを忘れず行うことで、損せず安心して退職を迎えることができます。
ぜひ今のうちから、自分の会社の制度を確認しておきましょう。
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